2020年6月配信
今回のテーマは「土地開発事業から見た現在のアメリカの不動産状況について」でございます。
前回は、アメリカ不動産を中心に2020年前半のアメリカの経済についてマクロな視点で情報を共有させていただきました。今回は私どもがパートナーシップを結んでいるWaltonの事業から見たアメリカ不動産の現況についてお伝えいたします。
Waltonに関しては、こちらのアメリカ不動産土地開発投資ブログを御覧になっていただいてる方は既に御存知の方が多いと思いますが、カナダ発祥の土地開発事業を行っている会社です。
詳しくは以下のホームページを御覧くださいませ。
https://walton.com/jp/who-we-are
現在Walton社はコロナウイルス騒動が発生した昨年末以降も安定して、土地の購入、売却を進めています。現在125件の未開発地のプロジェクトが進行中で、Walton社及び投資家が保有している物件の中で一括売却手続中の物件とオプション契約締結済の売買契約が全て実行された場合には、約2億5,400万米ドルが還元される予定です。
なお、主な売却先例として、大手住宅メーカーのD.R. HORTON社とLENNAR社が挙げられます。
D.R. HORTON
LENNAR
2社ともニューヨーク証券取引所に上場している巨大企業です。特にD.R. HORTON社とWalton社は強力なパートナーシップを結んでおり、オプション契約を中心とした土地プロジェクトの売買が進められています。Walton社が建設会社と行なうオプション契約とは、1回または複数回の取引の際に土地を優先的に購入する権利を建設会社に与える契約です。その代りとして、土地を購入する建設会社がデューデリジェンスの遂行、建設許認可の取得、水道等インフラ及び公共施設の建設・整備を行う義務を負う契約です。Walton社は売買契約書の解除や破棄がない限り、第三者との売買交渉並びにオファーの受領は行わないことになります。
先日もD.R. HORTON社よりWalton社が保有しているテキサス州の土地プロジェクトに買収オファーが入りました。Walton社はオファーを受け入れるか否かの投票決議を土地オーナーに図り、賛成票70.45%で売却が可決されました(賛成票60%以上で可決)。
モルガンスタンレーによると、コロナ騒動によって低下した米国経済が軌道に戻るのは早くて5月中旬から下旬だと予測していました。また、ワクチンの開発及び提供がパンデミックを完全に解決する唯一の手段であるとしています。6月中旬現在、米国経済は回復基調にあると考えられます。積極的な財政出動もあり、徐々に人とお金は動きはじめています。しかし、まだ予断を許さない状況です。コロナウイルスの第二波感染拡大の懸念もあります。集団免疫に関する調査が4月から夏にかけて行われます。モルガンスタンレ―はコロナウイルス第二波感染拡大の可能性は12月にあると考え、ワクチンの提供が2021年3月ごろになると予測しています。コロナウイルス感染拡大の第二波が今年末にあるのかどうかが、アメリカ経済が早く回復するのか、それとも回復に大きく時間がかかるのかを決定すると考えています。
J.P MORGANは“2008-2009年の金融市場の世界的大不況と比べ、GDPの回復は早い”と予測を出しています。なぜなら、今回の経済的打撃は新型コロナウイルスによる外因性経済ショックであり、金融業や住宅保有者の債務超過による内因性経済ショックと比べれば、回復しやすいと考えているからです。
土地開発事業に関しては、先ほど申し上げたD.R HORTON社、LENNAR社を筆頭に上場住宅建設業者が健全なバランスシートを誇っており、住宅需要があり続ける限り、積極的に購入していくでしょう。
米著名投資家ウォーレンバフェットも今年初めに仮想通貨事業者との会食において「ビットコインより土地を買いたい」と言っており、住宅開発のための土地需要は今後も高い水準を維持していくものと思われます。
実際にウォーレンバフェットが率いるバークシャーハサウェイの子会社であるClayton homesが、Waltonが個人投資家と共同保有するコロラド州の土地プロジェクトへ買収オファーを現在示しており、売却の是非の投票が行われている最中です。
今後もアメリカ不動産、特に住宅関連の事業は注目に値すると存じます。
今回も御覧いただき、ありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。